学校心理士について

学校心理士とは

学校等をフィールドとした「心理教育的援助サービス」の専門家です。

学校生活におけるさまざまな問題について,アセスメント・コンサルテーション・カウンセリングなどを通して,子ども自身,子どもを取り巻く保護者や教師,学校に対して,「学校心理学」の専門的知識と技能をもって,心理教育的援助サービスを行うことのできる方に対して,一般社団法人学校心理士認定運営機構が認定する資格です。「学校心理士」の資格認定は1997年度から始まり,これまでに約7,500名の学校心理士(補)が誕生しています。

2011年度には,上位資格の「学校心理士スーパーバイザー(CSP-SV)」資格の認定も開始しており,現在約210名の「学校心理士スーパーバイザー(CSP-SV)」が誕生しています。学校心理士スーパーバイザー・学校心理士・学校心理士補の人数は,2021年1月1日現在,約4,300名です。

学校心理士の目的

いま学校では,多くの児童生徒が学校生活におけるさまざまな問題状況にあって,その解決への援助を求めています。文部科学省の2015年度(平成27年度)「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)によれば,小・中学校の不登校児童生徒数は前年度より3千人増加し,12万6千人となりました。また,いじめ,非行,高校中退,無気力,自殺などの問題は深刻さを増し,さらに近年では,小学校における学級崩壊や校内暴力という問題も大きくなっています。

そしてLD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害),高機能自閉症などを含めて,障害のある児童生徒の特別な教育ニーズに応じる教育の整備が,重要な課題として進められています。

このような援助を求める子どもを含む全ての子どもの望ましい発達を保障し,促進させることが教育の最大の責務です。

「学校心理士」は,学校生活におけるさまざまな問題について,カウンセリングなどによる子どもへの直接的援助を行うとともに,子どもを取り巻く保護者や教師,学校に対しても,「学校心理学」の専門的知識と技能をもって,心理教育的援助サービスを行うことを目的・役割としています。

学校心理士の活躍する場

「学校心理士」の多くは,心理教育的援助サービスの専門性を活かし,幼小中高等学校,特別支援学級,特別支援学校などの学校教育現場で,子どもの学習面や心理・社会面,健康面や進路面などの学校をフィールドとした諸問題の解決を援助し,その健全で幸福な発達の実現にかかわる専門家として活動し,その援助の対象は,子どものみならず,教師,保護者,学校組織も含まれます。こうした専門家である学校心理士は,学校の管理職や教諭・養護教諭として,教育相談・特別支援教育のコーディネーターあるいはスクールカウンセラーとして活躍し,今日の学校が抱える問題の改善に貢献しようとしています。また,教育委員会,教育センター,教育相談所等で活躍している方や教育委員会の依頼を受けて,相談業務に従事している方もいます。

現在,社会の変化にともなって,学校そのものや学校教育のありようが急激に変化し,揺れ動いています。学校における子どもたちの所属感・存在感の問題や学力の問題,学級崩壊や校内暴力の問題,不登校やいじめの問題,非行や援助交際の問題,摂食障害や家庭内暴力,引きこもりなどの問題,突然の攻撃行動や自殺の問題,学習障害や注意欠陥多動性障害などを含む発達障害の問題など,今,学校をフィールドにして,多くの子ども,教師,保護者そして学校そのものが,さまざまな問題に直面している中,学校心理士が活躍する場は,大きく広がってきています。

学校心理士の「学校心理士」資格は,心理教育的援助サービスに強い教育職(教師)と学校教育の専門性の高い心理職(公認心理師等)のキャリア発達を支えます。