[2021.4.28]
准学校心理士資格認定委員会委員長
大野精一(星槎大学大学院 教授・研究科長)
この4月から全国各地の保育園や幼稚園,あるいはさまざまな教育機関に勤められた若い准学校心理士のみなさんは,コロナ禍で困惑の日々を送られているのではないかと心配しております。
季節性インフルエンザは毎年発生しますから,終息はしないのですが,春の到来とともに収束します。新型コロナウイルスも今後様々な変異をしながらしぶとく生き残るものと思われますので,終息は恐らく難しいのでしょう。とすれば,新型コロナウイルスはいつどのように収束するのでしょうか。
季節性インフルエンザが予防あるいは軽症化のためのワクチンとある種の治療薬,さらに人びとの対処方略取得等により収束したとすれば,新型コロナウイルス流行の収束は現時点でなかなか展望できない状況にあります。
こうなると混迷は二重です。一つは医学あるいは技術面,もう一つは哲学あるいは人間の在り方に関わるものです。前者は着実に進展するものと想定できますが,時間がかかるとともに新型コロナウイルスの変異の有り様によっては繰り返し課題としてループ化しないとは言い切れません。年々歳々収束に向けたイノベーション(改良・改善と言った次元ではない)が求められ続けることになります。よく言われるwith Coronaの論題がここから出てきます。
こうなると,次元は単にコロナウイルスへの対処方略から,こうした状況下でどのように社会関係(人間関係)をとり結ぶのかという「哲学あるいは人間の在り方」の論題となります。
マスク着用やソーシャルディスタンス等の個人次元のものから,議論(口角泡を飛ばす)や居酒屋等を含めたコミュニケーション,さらに芸術・スポーツ等の文化にも深く関わってきます。菅政権(大阪府,東京都等の知事)は4月25日(日)から三回目の緊急事態宣言を発出しましたが,この先の時間的展望やその意味・意義・価値等が不明確なので(と言うよりも語られていない),その方策・方略・言説は,大阪の日本城タクシー(株)の坂本篤紀社長の言うように,TVコマーシャルの域を出てないように思われます。
若い准学校心理士のみなさんには,職場の中で,あるいは親友と,さらに出逢いの中で,こうした「本質的な問題」を,22世紀をイメージしながら語り合っていただきたい。そのための素材をこのコーナーでも提供していくつもりです。